借金返済と賭け事
僕が最初に手を出したのは、パチンコだった。プロのパチンコ打ちは、一日で四、五万稼ぐという。それだけあれば、借金返済なんてすぐだろう。一日で七千円にもならない僕の給与を考えれば、そんなことをするよりもパチンコで稼いだほうがいい。いちかばちかの賭けに出たのだ。わずかな退職金は借金返済と、パチンコへの投資にあてた。母には黙っていた。
たしかに、うまくなるにつれて稼げる日は多くなった。しかし、だからといって借金返済にあてる充分な額がパチンコで稼げるわけではない。月末の給料日が近づいた時に、借金返済どころか、会社でもらっていたわずかな給料にあたる額も稼ぎだせないことがわかった。それで僕は、ふたたび借金をした。
次は競馬である。前から研究していたので、ある程度の予想はできた。そして、レートの低いものであればかなりの確率で当てて、借金返済への見通しがついたような気がした。そこで少し自信をつけてしまい、高いレートの賭け方をするようになった。父の遺産の借金返済と、今度は自分の作った借金返済。そのために目がくらみ、僕はさらに大きな借金返済に追われることとなった。
今までの金融業者は、もう貸してくれない。仕方がないので、危ないとは知っていながら、利率の高い闇金融のようなところに手を出した。借金返済の恐怖はさらに広がった。自分はもうどうなってもいいと思ったが、闇金融の要求したのは、さらに妹の幸子を連帯保証人にすることだった。
すべてを話すと、幸子はその金額に驚き、借金返済がさらに難しくなったことを嘆き、僕を責めた。しかしほかに方法がない。ほかに頼れるあてがあるくらいなら、とっくに頼って借金返済を済ませている。結局幸子は連帯保証人になることに同意した。僕も幸子も、母にだけは内緒にすることを約束して。